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減価償却「定率法」から「定額法」への動き

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1.上場企業の会計方針の変更

3月決算の上場会社で、減価償却方法を「定率法」から「定額法」に変更したケースが多かったようです
「定率法」は、償却費が投資した初期に大きく、年数がたつほど小さくなりますが、「定額法」は最初から最後まで毎年均等に償却費が発生します。

2.IFRS(国際会計基準)の影響

海外では「定額法」が一般的で、IFRSでは原則的に、「定率法」が認められていません。
今回の会計方針の変更はこのIFRSの影響があると言われています。
確かに、建物や機械は、毎年同じ程度減耗していくので、理論的には当初の償却費が大きい「定率法」は合理的ではありません。私が減価償却を習ったときは、年々経過と共に発生する「修繕費」も考慮すると「定率法」の方が均等化されると習いましたが・・・。
上場企業では、海外の子会社や海外進出が進みIFRSを重視せざるを得なまなったのです。

3.節税メリットが大きい「定率法」

日本では、 経済成長を背景に、国内での増産投資を続けてきた企業では、「定率法」が多く採用されてきました。
また、法人税でも、「定額法」「定率法」の選択をしない場合は、法定で「定率法」とされていました。
(個人は逆に法定は「定額法」)建物は「定額法」のみです。
「定率法」で減価償却費が多ければ、利益が少なくなるので節税メリットを享受でき、残った資金で、再度新たな設備投資を行い、事業を拡大したのでした。

4.では本当の理由は?

今回の会計方法の変更は、IFRSにあわせての変更といわれていますが、実は、利益を出したいのではとの思惑もあります。
「定額法」であれば、償却額が少ないので、利益は膨らみます。
ホンダは定額法に変更することで、従来の会計処理に比べ減価償却費が400億円減り、今期の利益を押し上げる要因になるそうです。
中小企業も、「定率法」から「定額法」への変更が進むかもしれません。
それは、金融機関が法人税別表16から、償却不足額がないかチェックしています。
償却不足があれば粉飾とみなされ、償却を全額した場合の利益に減額修正して格付けが判断されます。
それならば、当初償却額が小さい「定額法」に変更した方が、合法的に利益を多くした方がいいですよね。

5.変更の手続き

法人が、減価償却資産の償却方法を変更しようとするときは、原則として、新たな償却方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までに償却方法を変更しようとする理由などを記載した「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を所轄税務署長に提出して、所轄税務署長の承認を受けなければなりません。
なお、償却方法の変更申請は、その法人が現によっている償却の方法を採用してから相当期間を経過していないとき、又は変更しようとする償却の方法によっては各事業年度の所得の金額の計算が適正に行われ難いと認められるときは、承認されませんのでご注意ください。この相当期間とは3年になります。


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